ワールドカップ振り返り①

いやー全試合レビューなんて開幕した時ははりきっていたが決勝トーナメント以降は全く書けずだった。試合はだいたい見ていたが出張が多く(言い訳です!)、途中でツイッターを始めたのもあいまって、ブログの更新が全くできなかった。

一番、記憶の鮮明な決勝のスペイン対オランダ戦について少し。

まず言えるのは、間違いなくオランダサッカー信奉者が世界中で減ったはずだ。決勝までも手堅い試合運びで決してオランダらしい攻撃サッカーで勝ちあがって来たわけではなかったが、決勝のスペイン戦くらいは本来の攻撃サッカーを見せてくれると思っていたサッカーファンも多かったと思うが、オランダ人はオシム監督の言葉を借りれば最初から試合を“壊し”にいった。スペイン相手だと守備の時間が多くなるのはしょうがないと思うが、いくらなんでもファール多すぎ。試合後、審判の判定にオランダの監督・選手が審判に怒りをぶちまけていたが、そう(試合を壊し、荒れた試合になるように)仕向けたのは自分達なのだから、自業自得であろう。

結局、試合は延長後半終了間際のイニエスタのゴールでスペインが勝ったので良かったが、もしオランダがPK戦で勝ったりしていたらと思うとぞっとしてしまう。別にオランダが嫌いなわけでも何でもないが今大会のオランダは優勝すべきチームではなかったと思う。オランダたるものやはり98フランス大会のときのようにたとえ敗れたとしても、大会のベストチームはオランダだったと言われるような美しいサッカーを見せてほしい。今回のも98フランスのときのメンバーと比べても全く遜色のないメンバー(DF陣は若干見劣りするが、攻撃陣は98メンバーより上)だったと思うし、そういうサッカーができる稀有な国なのだから、なおさら残念だ。

決勝のオランダは今大会を象徴しているような気もする。何か負けることを必要以上に恐れて、その恐れが勝つ喜びを支配して、結果だけを追い求め守備的になってまう。それが例えば相対的に戦力で劣る我が日本のような国だったり、伝統的にそういう戦いをするパラグアイのようなチームならわかるが、いわゆるサッカーの強豪国までもそういう戦いをしていたのは小さくない驚きだった。グループリーグならそういう戦いもわかるが、決勝トーナメントになってもそういう試合が多かった気がする。日本の試合もそうなんだろうけど、対戦国じゃない国の人が見ても面白い、熱狂するような試合がものすごく少なかった大会だったように思う。

おそらく、全64試合の半分くらいの試合を見たが、一番内容的に面白かったのは3位決定戦のウルグアイ対ドイツだった。3決だからお互い勝っても負けても失うものも得るものもあまりない。それがかえって試合をおもしろくしたのであれば、大きな皮肉だ。

決勝トーナメント1回戦 まとめて

ドイツ対イングランド 4-1
1回戦屈指の好カードだったが、終わってみればドイツの圧勝。この試合の結果を見て思ったのが、両国の代表チーム以外のサッカーへのかかわり方というかアプローチの違いだ。ドイツは言わずと知れたサッカー大国であるがそれは何も歴史だけがそうさせているわけではない。EURO2000で予選リーグ敗退してから、ドイツはいくつかの改革・修正を施した。1つは育成の見直し。1990年のイタリアワールドカップで優勝した後、前述のEURO2000までは10年間、極論すると1990年のワールドカップ優勝の遺産で戦い、新たなスターがなかなか生み出せなかった。(EURO2000では当時39歳のローター・マテウスが出場していたくらい)そこから詳しくは知らないが育成方法を見直し、徐々に若い選手が活躍するようになった(私の記憶が正しければドイツサッカー協会の育成担当のえらい人は元代表マティアス・ザマーなはず<1996年のバロンドール>彼はちなみに旧東ドイツ出身)その結果、2009年のU21ヨーロッパ選手権で優勝し(以外だがこれが初優勝)、今回もその時の優勝メンバーが多く活躍している(エジルミュラーなど)。もうひとつは移民選手(二重国籍保持者)の積極的な受け入れ・スカウトである。今回の代表メンバーでもタスキ・エジル(トルコ系)、アオゴ(ナイジェリア系)、ボアテンク(ガーナ系)、ケディラ(チュニジア系)、マリン(ボスニア系)、トロホウスキ・クローゼ・ポドルスキ(ポーランド系)、ゴメス(スペイン系)、カカウ(ブラジルからの帰化選手)、と約半数はそういった選手達である。フランス・イングランド・オランダなどの第2次世界大戦の戦勝国は旧植民地出身の選手を昔から受け入れてきたが(といってもここ20年くらいの話だが)、敗戦国であるドイツにはそんなバックグラウウンド・アドバンテージがあるわけもなく、地道な努力でこういう結果を残している。ましてや中東のどっかの国みたいにお金で国籍を買ったりしているわけではない。ブンデスリーガもスペイン・イングランド・イタリアの3大リーグの影に隠れて日本ではいまいち地味な印象であるが、1試合あたりの観客動員数は世界一であるし(確か1試合平均35000人)、クラブの経営もリーグ側が厳格に格クラブの経営状況はチェックしているため、クラブの経営の安定性も抜群である。スペイン・イタリア・イングランドのチームのように借金を重ねて高額のスター選手を獲得するということももちろんない。
サッカー協会に登録しているひとの数も世界一なはずだし、ヨーロッパのサッカー大国の中では珍しく女子サッカーも強い。

こういった国の力というか総力が必然的に今回のピッチの上で出たのだと思う。

”まとめて”と思ったが、ドイツのことだけで疲れたので、他はまた後日ということで。

最後に我らが日本代表についても少し。昨晩の試合の後、夜中にも関わらずサッカー好きの友人たちに電話しまくって、しゃべりまくったのだが(深夜にも関わらず興奮した酔っ払いの話を聞いてくれたみなさんありがとう!)、惜しくもPKを外してしまった駒野選手に私が敬愛するロベルトバッジョのこの言葉を。

“PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つものだけだ”

我美

記念すべきサッカー以外の初投稿。昨日、会社のT女史・S女史を連れ立って、久々の同期会を開催。流川にある創作料理の店、我美というお店へ。ここのお店は炊き出し餃子なるもので有名ということで、食してみたが噂どおりの逸品だった。水餃子風ではなくどっちかというと餃子鍋みたいな感じか。とんこつベースのスープに餃子が入っていて、スープと一緒にそれこそ鍋をつつくように食べる。〆にはもちろん麺を投入し、フィニッシュ!

炊き出し餃子以外のメニューもなかなか充実しており、値段は場所がらか普通の居酒屋よりは気持ち高いが十分に満足できるレベル(バカみたいにお酒を飲まなければ一人5000円でおつりがくるくらいの価格設定かな)お店の雰囲気も落ち着いていて大人なお店という感じだった。

結構人気のある店みたいなので、行くときは予約していくのがベターらしい。
http://r.tabelog.com/hiroshima/A3401/A340101/34002207/dtlrvwlst/1498291/

あとツイッターはじめました!アカウントは@ninobe27です。

ガーナ対アメリカ ○2-1

こちらの試合もウルグアイ・韓国戦に続いて好ゲーム。前半開始早々、ガーナのケヴィン・プリンス・ボアテンク(プリンスって)のゴールでガーナが先制。その後はガーナの組織的な守備をアメリカが崩せず膠着状態が続く。しかしながら、ガーナの戦いにはびっくりした。アフリカのチームらしからぬ戦術的ディシプリンがあり、組織力でも全くアメリカに引けをとらなかった。後半にPKからアメリカに同点ゴールを許したが、その後も、“意気消沈→ラフプレー連発→退場者を出す→結局負ける”のアフリカ的メンタルの弱さも全く見せず、アメリカに押し込まれながらも精神的にきれることもなく、相変わらずの組織的な守備でアメリカの追加点を許さない。この辺から睡魔に襲われ試合を見ていないので、割愛するが、試合は結局、延長前半にギャンのゴールでガーナが勝ち越し、そのままタイムアップ。ガーナがベスト8進出。

試合とは関係ないがFWなのにいつも背番号3のギャンという選手、色が黒いので今までわからなかったが、なかなかのイケメンな気がする。

ガーナにこれだけの組織力と精神的逞しさをうえつけたセルビア出身のラバイエツ監督の手腕に脱帽。(この監督が試合中つけていたガーナ国旗をあしらったネクタイもなかなかGOODだった)

準々決勝であたるウルグアイもかなり強敵だが、ぜひアフリカ初のベスト4目指して次の試合も頑張ってほしい。

アメリカの話題も少々。スタンドにクリントン元大統領とミックジャガーの姿を発見。自分の目では確認してないがNBAのスーパースターのコービー・ブライアントも来てたらしい。アメリカの人も意外とサッカー好きみたいだ。

チリ対スペイン ×1-2

今大会チリの試合を初観戦。噂にきていたがチリのサッカーは面白い!前半のチリがひとり退場者を出すまではグループリーグのベストゲームのだったと思う。とにかくチリは攻撃も守備もスピードが半端じゃない。攻撃の際はボールを持った選手以外のの選手がとにかく走る。オシム監督ではないがリスクを恐れず攻撃に複数人が同時に絡みどんどんパスコースをつくっていく。ボールをとられたら、そん瞬間から高速プレスで相手に時間もスペースも与えない。2点を先制されはしたが内容的にはスペインを上回っていたと思う。惜しいのはスペイン相手で気合が入りすぎたのかアドレナリンが出すぎたのかファールが多すぎた。退場になったエストラーダの2枚目のイエローはミスジャッジだと思うが、審判の心証を悪くしていたのも事実。最後まで11人対11人の試合が見たかった。後半開始から3-3-3の布陣に変更したチリが猛アタックをしかけ、あっさり同点ゴール。しかし、スペイン相手にひとり少ない状況で3-3-3の布陣はすごい。普通は4-4-1とかにするんだろうけど。

その後は裏のスイス対ホンジュラスの途中経過を気にしながらの展開になり両者1-2のスコアのままで仲良く決勝トーナメント進出が決まることもあって、前半戦がうそのように一気にヒートダウン。結局そのままスコアは動かず、スペイン1位、2位チリで決勝トーナメント進出。初戦でスペインがスイスに負けたときはどうなるかと思ったが、最終的には全く順当な結果になった。

ワールドカップももう64試合のうち48試合が終わってしまった。決勝トーナメントは日本もいるし、すごく楽しみだがあと2週間で終わってしまうとなると、さびしい気がする。

韓国対ウルグアイ ×1-2

決勝トーナメントになるとやはり試合のテンションというかスピードが全然違う。これこそが正真正銘のワールドカップだ。今さらながら、このステージに日本代表が残れたことが誇らしい。
前半は韓国イレブンのコンディションがよくないのかあまり走れない。やはり走れないとこのチームはサッカーにならない。対するウルグアイは老獪ということばがぴったりでゲーム運びがうまい。先制点は韓国GKのミスからスアレスが得点。ウルグアイがすばらしかったのはNHKの解説で山本さんも言ってたが、体の寄せ、弾際のボールの奪い方が抜群にうまい。ファールにならない程度に体を相手に当ててボールを奪う。ウルグアイは派手なプレーは皆無に近かったが、こういう技というかプレーはやはり歴史のなせる業だろうか。
後半は韓国がサイドからの攻撃を徹底し、後半開始から圧倒的に攻め込み、CKのこぼれ弾からイチョンヨン気合のヘッドでゴールを決め、同点。一気に韓国攻勢かと思ったが、ここはウルグアイがやはり老獪なゲーム運びを見せる。同点にされてもパニックにはならず、急に反撃にでたわけではなかったが、徐々に人数をかけて縦に速い攻撃でチャンスを作っていく。決勝点はスアレスがCKのこぼれ弾からワールドクラスのスーパーショットが炸裂!あんなシュート撃たれたら、GKはどうしようもできない。残り10分となり韓国もFWを投入し反撃にでるが、決定機を1度しか作らせてもらえなかった。ウルグアイの守備はゴール前にドン引きするのではなく、パワプレーでゴール前にあげてくるボールに素早く寄せ、ゴール前にボールをなかなか運ばせないようにしていた。結局、韓国はゴールを奪えず1-2でゲーム終了。しかし韓国の戦いは見事だった。ウルグアイ相手でも守備的にならず最後まで自分たちの戦い方を貫きとおした。あとはアジアの誇りは日本に任せてください。必ずパラグアイに勝ちます!!

しかし、スアレスはすばらしい選手だ。90分通してはじめて見たが、オランダリーグで35点とった実力はさすがだ。見る前は小さくてすばしこくてアルゼンチンのサビオラみたいな選手だと思っていたが、全然違った。背は小さいが体つきがなんかラグビー選手みたいで胸板の厚さが半端じゃない。前に出る馬力というか推進力が凄まじいし、ポジショニングもうまく、シュート・パス・トラップの基本技術も文句なしのレベル。ヨーロッパ中のビッグクラブが注目するのもうなずける。ただ彼もまだ23才なはず。やはり世界はこの年代からこのクラスの選手が出てくるのだ。