書評

中古カメラの転売で月68万円稼ぐ! 岩佐式・ハイパービジネス超入門

中古カメラの転売で月68万円稼ぐ! 岩佐式・ハイパービジネス超入門

ひょんな事がきっかけでこんなくだらない本を読むことになったけど、アマゾンのレビューにあるような詐欺師養成マニュアル的な本じゃなくてちょっとがっかり。というより、ネットで拾ってきてコピペしてまとめて、美辞麗句を適当に並べて、客観的なデータは一切示さず、当たり障りない事を書き連ねているだけの本だった。結局最後まで月68万円の答えは出てこなかったし。ただ、ヤフオク入門+ネットで拾えるコピペ的カメラの基礎知識のための本と考えれば人によっては利用価値があるかもしれない。個人的にはつっこみどころがたくさんあってある意味楽しく読めた。

以下、個人的なつっこみポイントベスト3です。

第1位 第1章-3 3万円3日の法則でハイパービジネス

著者の言うハイパービジネスとは簡単に説明するとこんな感じ↓

3万円3日の法則 (1週間4回仕入れ)

3万円が
 ↓
(45,000円に) →15,000円の利益ゲット!!
 ↓
45,000円が…
 ↓
(70,000円に) →25,000円の利益ゲット!!
 ↓
70,000円が…
 ↓
(110,000円に)
 ↓ 110,000円が…

 ↓
(142,000円に!!)
3万円が1週間で(142,000円)
1ヶ月で利益750,000円になりました!  

"1ヶ月で利益750,000円になりました!"って月68万円じゃないんかい!!(笑)
僕の能力ではだいたいこの計算方法でなんで1ヶ月で利益750,000円になるのかすらよく分からない。
このあたりが凡人では理解できない“ハイパー”ビジネスの“ハイパー”たる所以なのだろう。

第2位 第2章-2 中古カメラ転売で稼げる12の理由 

理由その7:市場が飽和しない

世の中にどれだけの数のカメラが発売されてきたのでしょうか。想像もつかないくらいの数であることは間違いありません。さらにレンズや周辺機器も含めるとその種類は無数と言っていいでしょう。私はこれまで10年以上中古カメラ転売を手がけ、利益を上げ続けています。その間に競合する方が増えましたが、そのせいで市場が飽和したりやりにくくなったことは、まったくありません。新しくカメラを始める人々や、転売で一儲けしようとする人々が日々参入し続けても飽和しない理想の市場、それがまさしく中古カメラ市場なのです。(原文ママ

一切の客観的なデータを示さず、市場が拡大し続け飽和しないって言い切ってしまうのがまず“ハイパー”。ただ、著者自身が10年以上利益を上げ続けているのは事実かもしれない。しかしそれは市場が拡大して飽和していないのではなくて、著者の市場の中での“シェア”が高まっているからだろう。最新のカメラはともかく、クラシックカメラのような個体数が非常に限られている商品を扱っていて、その市場に参入するプレイヤーが増えても市場が飽和しないというのは明らかに詭弁。

市場の拡大と市場の中での“シェア”の拡大を混同して論じてしまうあたりがやはり“ハイパー”

第3位 第4章-12 上級編:店頭仕入れのワザ
(あげ足をとるような品のないつっこみです。すいません)

東京はもちろん、札幌、東北、名古屋、大阪、広島、九州などの地方の大都市には、たいてい中古カメラ店があります。直接買い付けに挑戦してみましょう。(原文ママ) 東北と九州は都市じゃなくて地方でしょう。たぶん、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡って書きたかったのかな?地方と都市を混同してしまうあたりがやはり“ハイパー”。

その後に全国中古カメラ店リストっていうのがあるけど、広島の店は一件も掲載されていないっていうおまけつき。
あるのかないのかはっきりしてほしいところです。
ただ、これは著者というより出版社の編集担当者の責任の方が大きい。ちゃんと校正しましょう。

P111に“自分より販売力のない出品者から仕入れて、自分の販売力を生かして高値で売り切る”とあるがこれがこの本というかこのビジネスの本質を一番端的に示していると思う。エンドユーザーの視点は全くなく、ただ売る側の儲けるという利己的な視点のみ。別にお金を稼ぐことも、ヤフオクも、カメラの転売もそれら自体は否定はしないけれども、実際の消費者であるカメラ愛好者を愚弄して稼ぐようなやり方には全く賛同できない。自分も祖父もカメラ愛好者だったので、なおさら腹が立つ。

著者のような商才があり、多少の批判はもろともせず、稼ぐことに執着できるような方は、日本で情報弱者を相手に本の出版や有料セミナー(塾)でチマチマやるのではなく、思い切って中国でビジネスを始めたほうがよいのではないかと思う。

この本の書評やヤフオクを使ったカメラ転売(売買)の注意点は以下のサイトで詳しく書かれているので、興味のある方(いないと思うけど)は参考されたし。

http://sukimonoya.jp/data/book_m05.html
http://kameraoku.web.fc2.com/index.html

香港に来てから、こういうインターネットビジネスというかネットワークヒジネス、情報商材ビジネスというものを目にする機会ができて、へえー世の中にはそんな商売もあるんだ(棒読み)と思う一方、自分には能力的にも性格的にも絶対できないので、凡人は凡人らしく、今の仕事に誇りを持って、地に足をつけて一歩一歩確実に、誰に対しても誠実に生きていきたいと思う次第です。

変なまとめになっちゃったけど、人生どこに気付きのタイミングがあるかわからない。感謝。感謝。