本の感想

別にパチンコはやった事もないし、これからもやらないと思うが、周り(職場)にパチンコをやる人が多く、なんでいい大人が時間とお金をあんなに投資しているのか、かなり否定的に思っているので、興味を持って読んでみた。

筆者も本の中で書いているが、テレビ・雑誌・新聞等のマスメディアが報道しないパチンコ業界の内情を告発している点は大いに評価できると思う。ただ、全体的に綿密に取材し、客観的なデータを示し、自分の論拠を明らかにするというより、自分の思い込みで書いていることが多く、?な部分が多々あった。

例えば
 
“学校で、子どもが給食費が払えなくなるケースは、パチンコで負け続けている母親に多い。”
“子殺し、親殺しは、パチンカーに多いといわれている”
“この国の将来を、担ってもらわなくてはならない若者達を、パチンコで苦境に追い込んでいる現実がある”

さらにパチンコから一歩踏み込んでこんな一節もあった。

“この国の、社会の荒廃が進んだのは、長年にわたるパチンコの野放しと、直近では小泉政治が原因と言っても過言ではない。”
これはさすがに過言だと思いますが・・・・。

ただ、現在のパチンコ業界のテレビCMや新聞広告の多さは異常だと思うし(特に地方ではパチンコがないと地域経済がまわらないじゃないかくらいの勢いがあるように思う),、パチ屋に開店前に列を為して並んでいる人たちを見ると哀しい気持ちになるし、著者の若宮さんにはもうちょっと取材なり、正確なデータを示すなりして、この問題に切り込んでいってほしい。

個人的にパチンコについてひとこと。

パチンコ業界(ホール業)の市場規模が約21兆円。しかしこの数字はお客さんがパチンコ玉に変えたお金の総額であり、実際はそこから勝つ人もいるので、パチンコ屋の利益の総額ではない。で、お客さんがパチンコで負けた金額の総額=パチ屋の利益総額は4兆円くらいらしい。その辺のことはこちらのブログに詳しく書かれています。

http://ameblo.jp/p2kokeshi/entry-10626173205.html

という数字のからくりはあるにせよ間違いなく一回は21兆円ものお金がパチンコ台に吸い込まれているのである。
この金額はとてつもなくでかい。

ちなみに
アパレルの市場規模は7兆円〜8兆円(http://www.nri.co.jp/publicity/n_letter/2006/pdf/nl20060202.pdf) 
書籍・雑誌の市場規模が2兆円を割り込むくらい(https://www.jagat.jp/content/view/1964/333/
音楽業界の市場規模が1兆6000億円〜7000億円(ttp://onluckbiz.blog133.fc2.com/blog-entry-13.html)
映画の興行収入が約2200億円(http://www.daily.co.jp/society/main/2011/01/27/0003766170.shtml)
スポーツ参加市場規模約4.1兆円(http://www.murc.jp/report/press/081014.pdf)

なんでみんなが服や本やCDを買ったり、コンサート・映画・プロ野球/サッカーの試合を見に行ったりする金額の総和が約16兆円で、こんなに束になってもパチンコの21兆円にはまだ及ばないのかと思うと確かにこの国を将来も危うい気がする。

別に自分のお金で自分の時間に何をしようと人の勝手だし、パチンコする人になんの罪もないと思うが、なんらかしらの国としての規制なりなんなりは必要なのかなと思う。

ごくごく個人的な意見だけど、パチンコに時間とお金を投資するよりはオシャレな服を着たり、本読んだり、音楽聞いたり、映画見たり、サッカーの試合見たりする方が人間として豊かな生き方がおくれると思う。
(当然、パチンコやる人が全く服買わないとか本読まないとか音楽聞かないわけじゃないけど・・・)